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2025年7月(令和7年)
猛暑一服の7月中旬、小石川植物園は深緑の世界 …… 2025.7.12
今年は梅雨明け前から猛暑が到来し、大変な日々が続いていますが、7月中旬に入って、ようやく猛暑が一服しました。この日は夏空からはほど遠い曇り空でしたが、深緑で覆われた小石川植物園の園内をぶらぶら回ってきました。
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 小石川植物園の7月中旬の風景

植物園本館に隣接するソメイヨシノサクラ並木の樹下も緑一色です。桜満開の頃は敷物を広げ団らんする多くのグループで賑わっていますが、夏のこの時期は閑散としています。

鎮守の森の主のように古井戸の近くにそびえ立つクスノキ(樟、楠;クスノキ科ニッケイ属)の巨樹です。常緑樹ですが、5月頃に新葉に入れ替わり、若葉の色もすっかり濃くなってきました。

園入口付近のイチョウ(銀杏;イチョウ科イチョウ属)の大木です。手前は精子が発見されたというソテツ(蘇鉄;ソテツ科ソテツ属)。また、右方はモチノキ(黐の木;モチノキ科モチノキ属)、左方はバショウ(芭蕉;バショウ科バショウ属)。一面緑の世界ですが、植物によって緑の色合いが異なります。

いろんな木々の花も見かけました。これはムクゲ(木槿;アオイ科フヨウ属)。中国原産の落葉低木。夏の代表的な花木で観賞用に栽培される。花期が長く、風雅で落ち着いた雰囲気で夏中咲き続けます。

キョウチクトウ(夾竹桃;キョウチクトウ科キョウチクトウ属)。インド原産の常緑低木。炎暑の夏を延々と咲き続ける夏の花木で赤花と白花がある。葉の形状が竹に似て狭く、花が桃に似ていることから和名が由来。木枝に強い毒性を有するので要注意。

中部地方以西の暖地の海岸近くに生える落葉低木のハマナツメ(浜棗;クロウメモドキ科ハマナツメ属)。よく見ると木枝に淡緑色の小さな花が盛んに咲いていました。株本から多数の幹を叢生し、枝に鋭いトゲがあります。絶滅危惧Ⅱ類(VU)。

わが国の山地に自生し、川沿いによく生える落葉高木のヒメグルミ(姫胡桃;クルミ科クルミ属)。木枝に青い実が沢山ついています。このアト秋に熟します。実の内部の種(クルミ)は風味豊かで食用になります。

北米に広く分布する落葉広葉樹ヒッコリー(オーバータヒッコリー;クルミ科ペカン属)にも木の実が付き始めました。ヒッコリーは材質が良く、建築家具、工芸材やスキー用材として使用されます。

春に見事な花で楽しませてくれたツバキ(椿;ツバキ科ツバキ属)の木にも青い実が沢山付いていました。熟した実の中の種子から椿油が抽出されます。椿油は食用のほか、化粧品、薬品、また石鹸などの原料としても用いられます。

野の花(草本)も数多く見かけました。これは日本、中国、朝鮮半島、サハリンが原産の多年草ノカンゾウ(野萓草;ワスレグサ科ワスレグサ属)の橙色の花。一重のすっきりした形状です。ユリの花が上を向いたような形をしています。

キキョウ(桔梗;キキョウ科キキョウ属)。秋の七草のひとつですが、秋というよりむしろ盛夏の花といえます。青紫色の上品な和風の美しさを保っています。日本全土、朝鮮半島、中国、東シベリアに分布し、山野の日当たりの良い所に生育する多年草。

キクイモモドキ(菊芋擬き;キク科キクイモモドキ属)。ヒマワリと比べ小さめの花でヒメヒマワリ(姫向日葵)の別名で親しまれています。夏の暑さにも負けずに力強く咲き続ける丈夫な宿根草です。北米原産で日本には明治時代に渡来。

ウド(独活;ウコギ科タラノキ属 )。北海道~九州に分布する多年草。線香花火のような小さな白い花をたくさん付けます。若芽や茎は山菜として食材になり、根は薬用になります。

ソクズ(蒴藋;ガマズミ科ニワトコ属)。本州、四国、九州に分布し、山地や山野の林縁、道ばたなど生育する大型の多年草ですが、園内の草むらで見かけました。直立する茎の先端に大きな花序を形成し、小さな白い花が丸く平板状に多数つきます。クサニワトコ(草接骨木)の別名あり。

カワラナデシコ(河原撫子;ナデシコ科ナデシコ属)の繊細な花。別名はヤマトナデシコ(大和撫子)。また単にナデシコ(撫子)とも呼ばれます。秋の七草の一つで、7月頃から秋にかけて花を咲かせます。

ミズカンナ(水カンナ;クズウコン科ミズカンナ属)が花を咲かせながら、園内の池に群生しています。北米原産で昭和初期に渡来した多年草。大きな葉がカンナに似ています。

冷温室で見かけた花々です。これはイワタバコ(岩煙草;イワタバコ科イワタバコ属)。福島県以南の本州~沖縄の山地に分布する多年草。渓流や湿った岩場などに生え、タバコに似た形の葉をつけます。星形をした赤紫色の花を下向きに咲かせます。山野草として鉢植えでも親しまれています。

シマホザキラン(島穂咲蘭;ラン科ヤチラン属)。小笠原諸島父島、北硫黄島にだけ生育する固有種。林内に生育する多年草。卵状披針形~長楕円形の葉が数枚つく。葉の間から伸びる茎に花序が形成され、淡緑色の小さな花が多数咲きます。絶滅危惧ⅠA類(CR)。

最後にわが家の庭先の植物です。これはホンコンカポックやシェフレラとも呼ばれるヤドリフカノキ(ウコギ科シェフレラ属)。オレンジ色の小さな丸い果実が花のアトに沢山ついています。5月頃から枝先や葉腋に小さな淡緑色の花を多数つけていました。革質で光沢がある美しい緑葉が多数つき、観葉植物として人気があります。

ニチニチソウ(日々草;キョウチクトウ科ニチニチソウ属)とセンニチコウ(千日紅;ヒユ科センニチコウ属)の寄せ植えです。近所の花屋さんからポットで購入し、適当に並べたものです。
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